7月24日、個人情報保護委員会は、個人情報保護法上の国外移転に関する規定違反などを理由に、韓国の情報主体の個人情報を処理しているAlibaba.com Singapore E-Commerce Private Limited(以下「アリエクスプレス」)に課徴金19億7,800万ウォンと罰金780万ウォンを課しました。
個人情報保護法で規定している国外移転手続きに違反したという理由で外国事業者に課徴金が課されたのは今回初めてであり、さらに、今年2月から海外電子商取引業者を対象に個人情報の収集及び利用実態について調査している個人情報保護委員会が来月には中国の直接購買プラットフォームである「テム」に対する調査結果を発表すると予想され、注目が集まっています。また、個人情報保護委員会が個人情報を国外に移転する海外電子商取引業者に対して追加調査を実施する計画を明らかにしたため、個人情報の国外移転問題が業界の話題になっています。
個人情報保護法第28条の8(個人情報の国外移転)は、原則的に個人情報の国外移転(照会を含む提供、処理委託、保管)を禁止しながらも例外を設け、情報主体から別途の同意を受けた場合、国外移転をすることができるとしており、この場合、同条第2項で移転される個人情報の項目、移転国、時期及び方法などを情報主体に知らせなければならず、同時に施行令で明示されている安全性確保措置、個人情報侵害に対する苦情処理及び紛争解決に関する措置などを行うよう定めています。
個人情報保護委員会は、「アリエクスプレス」が上記の告知義務及び保護措置義務を守らなかったことを理由に、それぞれ課徴金と過料を課し、さらに、利用者が容易に権利行使ができるように措置することを内容とする是正命令と、その他国内利用者の個人情報保護レベルを向上させるための趣旨の改善勧告をしました。
個人情報保護委員会は、今回の調査及び処分について、海外eコマース事業者も国内利用者を対象にサービスを提供する場合、個人情報保護法が適用され、国内事業者と同等レベルで個人情報を保護・管理しなければならないことを明確にしました。
[Legal Insights]
個人情報保護法は明示的に域外適用規定を設けていませんが、個人情報保護委員会は以前から「海外事業者個人情報保護法適用案内書」などを通じて、韓国の情報主体の個人情報を処理する外国事業者にも個人情報保護法が適用されるという有権解釈を示しています。今後、個人情報保護法の域外適用の具体的な範囲、これに対する外国事業者の対応に注目する必要があります。
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