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[Wealth Management] 遺言代用信託
2025.10.01.
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1. 自由な相続設計、遺言代用信託の台頭
 
「遺言代用信託」とは、委託者が生存中は受益者として信託の利益を享受し、死亡後は委託者があらかじめ定めた者が受益権を取得するようにする制度であり、信託法全面改正に伴い2012年から施行されています(信託法第59条)。委託者は遺言代用信託を通じて、生前は財産を信託会社を通じて管理・運用させ収益を受け取り、死後は特定の受益者に財産が自動的に移転されるよう設計できます。遺言代用信託は相続人指定から財産分配時期まで詳細に設計可能であり、遺言法定主義の制約を受ける一般遺言とは異なり、委託者と受託者間の合意により信託契約を迅速かつ柔軟に締結・変更できるというメリットがあります。
 
主要市中銀行5行(KB国民・新韓・ハナ・ウリ・NH農協)の遺言代用信託加入額は、2025年上半期基準で3兆7,663億ウォンに達し、2024年年間加入金額(3兆5,072億ウォン)を既に上回っており、2021年年間加入金額(1兆3,209億ウォン)と比較すると2.8倍増加するほど急成長を見せています。このような成長傾向は、韓国が2025年に超高齢社会に突入するにつれ、今後も続くものと見られます。
 
2. 遺言代用信託に関する最近の判例
 
 . 遺言代用信託財産と遺留分返還
 
実務において遺言代用信託が徐々に活用されるにつれ、遺言代用信託財産が遺留分返還の対象となるか否かについて活発な議論がなされてきました。
 
これに対し、大法院は最近、遺言代用信託により死後移転された財産を遺留分算定の基礎となる贈与財産と認めた原審を確定しました(大法院2024年7月11日言渡し2019ダ294466判決)。上記の大法院判決の原審を含む下級審判決によれば、遺留分返還時における遺言代用信託財産は、遺留分計算の基礎となる積極的相続財産には該当しないものの、生前贈与と類似し特別受益に該当し、その返還順序も生前贈与に準じて扱われます (ソウル東部地方法院2019年11月8日言渡し2018ナ28992判決、ソウル中央地方法院2024年7月3日言渡し2021ガ合547069判決等)。
 
ただし、受託者(信託会社)は財産を管理・運用し報酬を受けるのみで実質的取得者ではないため、遺留分返還義務を負担しないという点が最近の下級審判決において確認されました(ソウル中央地方法院2024.7.3言渡し2021ガ合547069判決)。
 
上記一連の判例によれば、遺言代用信託を通じて相続を設計する場合においても、受益者が受けた財産を贈与財産とみなして遺留分返還の対象となるため、今後の相続紛争を回避するには、遺留分を侵害しない範囲で精密に信託契約の構造と内容が決定されなければならないものと思われます。
 
ロ.不動産遺言代用信託による取得
 
信託契約に基づき受益者が不動産を取得する場合、取得税を負担することになりますが、最近ソウル高等法院は、遺言代用信託の委託者死亡時に受益者が不動産処分代金に対する収益権を事後取得しても、その取得税を負担しないと判断しました(ソウル高等法院2025年4月23日言渡し2024ヌ68714判決)。受益権の内容が信託財産の処分代金等の金銭を請求できる権利を意味するだけであれば、受益者が受託者から信託財産自体を実質的に移転されたとは見ることもできず、信託財産の対内外的所有権者である受託者に対して、その財産に関する所有権移転登記請求権を有すると見ることもできず、どちらの観点から見ても受益者である相続人が被相続人の死亡によって信託財産を取得したとは見なせないという理由です。
 
今回のソウル高等法院の判決は、遺言代用信託を通じて相続人が直接不動産を取得しない場合、取得税負担を軽減できる可能性を示しています。
 
ただし、地方税法第7条第17項として「『信託法』第59条及び第60条に基づく遺言代用信託及び受益者連続信託の委託者死後受益権を取得する場合、その受益者が当該信託財産を取得したものとみなす。ただし、その受益者が相続人である場合には第7項を準用する」という規定を新設する一部改正法律案が発議され、所管委員会の審査段階にあるため、今後の法改正及びこれに伴う税負担の可能性に注目する必要があります。
 
. 受託者が唯一の受益者である場合の遺言代用信託の
 
信託法第36条(受託者の利益享受禁止)本文に基づき、受託者が信託財産に関して唯一の受益者として指定される信託契約は許容されません。大法院もこの点を確認しており、単独受益者の指定は無効であるが、生前委託者を受益者に指定した部分(自己信託)は有効であると判示しました(大法院2024年4月16日言渡し2022ダ307294判決)。
 
今回の大法院判決は、受託者を単独受益者に指定する信託は無効である点を改めて確認しただけに、遺言代用信託の設計時には受託者を単独受益者とする構造を避け、自己信託など適法かつ有効な構造を活用することが重要です。
 
3. 遺言代用信託にする海外制度
 
アメリカ、イギリス、日本などの主要国でも遺言代用信託と類似した制度が運用されており、各国の法体系と税制環境に応じて活用目的と効果が異なっています。海外で遺言代用信託を行おうとする場合には注意を払う必要があります。
 
のRevocable Living Trust(取消可能生前信託)は生前に設定可能であり、設定者はいつでも信託を取消または変更することができます。主な目的は法院の検認手続き回避と相続紛争予防です。
 
のWill Trust(遺言信託)は遺言書の一部として設計され、信託管理人(trustee)が遺言者の資産を管理・運用し、受益者に代わって分配します。場合によっては分配方法や時期に関する裁量権を行使することも可能です。
 
日本の遺言代用信託は韓国と類似し、委託者が生前に信託契約を通じて死亡後、信託財産を特定の受益者に帰属させるよう指定できる制度です。相続紛争予防や家業承継の目的で活用されるケースが多いです。
 
4. 結語
 
遺言代用信託は、生前の財産管理と死後の相続設計を自由にできるというメリットがある一方で、遺留分返還、受託者指定、税制効果など、いくつかの法的・税務上の争点も併せて考慮すべき制度です。従って、これらのメリットをよく理解し、変化する判例と解釈を十分に検討した上で、積極的に活用することをお勧めします。
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