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法務法人(有) 麟(LIN)のチョ・ソンヒ弁護士 ESG基本法の制定が急務…グローバル基準に合致した「実効性」を担保すべき[麟(LIN)の行政と法律]
2025.09.02.
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チョ・ソンヒ弁護士(LIN)) (法務法人
 
ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が企業生存の必須条件として台頭し、関連法制化の議論が加速している。2025年に発足したイ・ジェミョン政権が気候危機対応、労働尊重、公正な市場経済の実現を国政の核心価値として掲げ、ESG政策を積極的に推進する中、制度的裏付けのためのESG基本法の制定が急務の課題として浮上している。
 
■気候エネルギー部・グリーン金融公社の新設へ
イ・ジェミョン政権はESG政策推進のためのガバナンス改革に乗り出した。気候エネルギー部(「部」は日本の「省」に該当)を新設し、気候エネルギー政策を統合管理するとともに、グリーン金融公社の設立を通じた公的資金と金融商品開発でグリーン産業成長を支援するという目標を提示した。
 
こうした政策基調に合わせ、第22代国会ではESG関連法案の提出が相次いだ。「環境・社会・ガバナンス経営促進法案」と「企業等の持続可能経営支援のための環境・社会・ガバナンス基本法案」が代表的である。企業の持続可能経営体系を制度的に支援し、ESG投資と中小企業の支援を活性化しようとする国内初の本格的な立法試みという点で意義が大きい。
 
しかし、企業の現実や産業の構造を十分に反映していないとの指摘とともに、企業の行政・財務的負担を増大させる恐れがあるとの懸念も同時に提起されている。
 
■「責任性 vs 実行可能性」の均衡点を見出すべき
ESGの概念そのものが本質的に企業に一定の責任と負担を課すことから出発する。したがって、経済的負担を理由にESG基本法の立法水準を後退させることは望ましくない。
 
一方で、ESG基本法が企業の導入意欲を萎縮させたり、実践そのものを阻害するような形で設計されてもならない。結局、企業の責任性と実質的な履行可能性の間で均衡を確保することがESG基本法の核心課題である。

■ 開示制度、グローバルスタンダードとの整合性の確保が必須
まず、ESG基本法は、開示制度を国際的基準と整合性を持って設計すべきである。今後ESGに関連し、国内外で最も法的紛争の可能性が高い領域がまさに「開示」部分だからである。
 
非財務情報開示基準を国際財務報告基準財団(IFRS Foundation)のS1(一般開示要件)及びS2(気候関連開示基準)、EUの企業サステナビリティ報告基準(ESRS)などのグローバル標準に適合するよう設計する必要がある。
 
こうした基準の確立を通じて、企業はESG関連情報をより透明かつ一貫した方法で開示でき、投資家や利害関係者からの情報に対する信頼を得られるだけでなく、不必要な紛争の可能性を最小限に抑えることができる。
 
■独立した第三者検証制度の導入…グリーンウォッシングの防止
第二に、信頼性を確保するための独立した第三者検証制度が不可欠である。現在、国内企業のESG情報開示は完全に自主性に委ねられており、企業が有利な情報のみを選択的に公開したり、グリーンウォッシング・ESGウォッシングのようなリスクに陥りやすい構造となっている。
 
現在、検証は海外の民間検証機関を中心に運営されているため、検証者の能力不足はもちろん、不十分な検証に関する論争が継続的に発生している。ESG情報開示に関する検証については、政府が一定の要件を満たした機関に限り資格を与え、検証者の資格及び教育を管理する方策を設ける必要がある。
 
■ 支配構造の透明性強化…専門取締役の選任義務化
第三に、ESG基本法には企業支配構造の透明性と責任性を確保するための装置が反映されなければならない。最近の商法改正により、取締役に総株主の利益保護と全株主の公平な待遇義務が明文化され(商法第382条の3)、大株主の経営権の強化に頻繁に利用されてきた自己株式消却義務化を骨子とする商法改正案も国会に提出されている。
 
こうした立法動向は、国内においても株主及び利害関係者の権益保護と健全な支配構造の確立が重要な課題となったことを意味する。ESG基本法を通じて商法改正案と歩調を合わせ「責任あるガバナンス」原則を宣言すると同時に、取締役会内に環境(E)・社会(S)・支配構造(G)分野別の専門取締役の選任を義務付けるなど、実質的な措置を設ける必要がある。
 
■中小企業には段階的・差別的アプローチ…振興基金の設置
最後に、ESG基本法は中小企業に対して段階的かつ差別的なアプローチを採用しなければなんらい。中小企業のESG実態調査義務と開示基準は、企業の規模、業種、産業特性に応じて合理的に差別化し、過度な規制負担を防止する一方、段階的にESG経営体系が内在化されるよう設計しなければならない。
 
また、ESG基本法においてESG振興基金の設置・運営を明確に規定し、これを通じて中小企業に対する専門教育・コンサルティングを支援するとともに、政府のマッチングファンドを活用して模範中小企業への投資まで連携すれば、中小企業のESG能力強化はもちろん、制度の持続可能性と実行力も同時に確保し得るだろう。
 
■ グローバル規制対応のための必須インフラ
ESG基本法の制定は、国内外の政策・規制環境の変化に能動的に対応するための必須的な制度的基盤である。国際的にESG関連法整備が急速に進んでおり、こうしたグローバルな流れを反映できない場合、国内企業の国際競争力の低下は避けられない。
 
ESG基本法は宣言的な規範を超え、国内企業がグローバル規制に対応できる実効的なESG経営体系を確立する出発点とならなければならない。政府と国会は速やかにESG基本法に関する立法ロードマップを策定すべき時である。
 
関連記事は下記の原文をご参照ください。
 
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原文閲覧▼
https://www.hankyung.com/article/202509013331i
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