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[Tech Legal Insights] 韓国のステープルコイン立法案比較:利息支払禁止とグローバル互換性に関連する争点を中心に
2025.08.08.
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7月28日、国内ステープルコインに対する制度的基盤を設けるための2件の法律案、「価値安定型デジタル資産の発行及び流通に関する法律案(アン・ドゴル議員代表発議)」と「価値固定型デジタル資産を活用した支払革新に関する法律案(キム・ウンヘ議員代表発議)」が発議されました。
 
両法案は、発行会社の認可、準備資産の管理、利用者保護など、いくつかの共通の規制方向を提示しながらも、一部の核心条項で明確な違いを見せています。今回のニュースレターでは、両法案の主な条項の違いを検討し、さらにその差が国際規制の流れとどのようにかみ合うかを説明することで、関連企業が立法の方向を理解し、効果的に対応するところに役立てたいと思います。
 
1.主な条項の比較
 
(*主な違いは下線で表示)
 主な分類 アン・ドゴル議員案 キム・ウンヘ議員案
1.定義と適用範囲 ・(定義)韓国又は外国の単一法定通貨と価値が連動したデジタル資産
・(適用除外)資本市場法上の証券、電子金融取引法上の前払い電子支払手段又は電子マネーとして見なさない。
・(海外適用)国外で行われた行為でもその効果が国内に及ぶ場合に適用
・(定義)法定通貨又は価値が安定している資産と連動したデジタル資産
・(適用除外)資本市場法上の証券、電子金融取引法上の前払い電子支払手段又は電子マネーとして見なさない。銀行法、類似授信行為規制法なども適用除外(海外適用)国外で行われた
行為でもその効果が国内に及ぶ場合に適用
2. 行人認可 ・(主な要件)50億ウォン以上の自己資本、事業計画の妥当性、人材/コンピュータ設備、役員/大株主適格性等
・(予備認可)本認可前予備認可申請手きあり
・(主な要件)50億ウォン以上の自己資本、人材/コンピュータ設備、セキュリティ基準、役員/大株主適格性など
・(予備認可)別途の予備認可手きなし
 
3. 行及び返
 
・(情報公開)発行前の白書を金融委員会に提出して申告。商品説明書の作成・公示義務
・(準備資産)連動通貨と同じ通貨で100%以上保有。四半期別計法人の検討
・(返済)利用者請求時、3業日以
支払義務
 
・(情報公開)発行前の白書を金融委員会に提出して受理。商品説明書の作成・公開義務
・(準備資産)資産連動時の通貨(ウォン)でも100%以上保有可能。四半期別の外部監査人監査
・(返済)利用者請求時に10日以の返済義務
4. 利子支 ・(明示的禁止)17により、名称を問わず、ステーブルコインの保有に連する利子(、その他の財産的値があるものを含む)の支いを明示的に禁止 ・(禁止条項なし) 明示的に利子の支いを禁止する別段の条項なし
5. 利用者保護
 
・(内部統制)法令遵守と利用者保護のための内部統制基準の構築・運営の義務
・(利害衝突)利害衝突の発生可能性の把握・管理及び利用者の告知義務
・(セキュリティ)IT部門基準遵守、15年間取引記録の保存、ハッキングに備えた保険/控除加入又は準備金積立義務
・(経営健全性)自己資本比率、資産健全性等経営健全性基準の遵守義務
・(安全性)善良な管理者としての注意義務。分散型元帳などに対する脆弱性分析・評価及び補完計画の策定・施行義務
6. 監督及び
 
・(監督権)金融委員会は発行者と取引支援VASPに対する監督・検査権限保有
・(処分)法令違反時の是正命令、営業停止、捜査機関の通報・告発などの措置可能
・(課徴金)準備資産管理違反、利息支払い、返済義務違反などに課徴金賦課
・(監督権)「仮想資産利用者保護法」の監督・検査規定を準用
・(承認/報告)合併、解散、営業譲渡などは金融委員会の承認必要。商号、最大株主の変更などは報告事項
・(課徴金)白書の誤った記載など公示違反について課徴金賦課可能
7.係機
 
・(委員会設置)金融委員会、韓国銀行、企画財政部の関係者加する「値安定型デジタル資産委員会」の設置
・(資料要求権)韓国銀行(通貨信用政策)及び企画財政部(外国為替政策)は発行者に資料提出要求可能
・(委員会設置)別途の委員会の設置項なし
・(資料要求権)韓国銀行は通貨信用政策などのために発行者に資料提出要求可能
8. 罰則
 
・(懲役/罰金)無認可発行、偽認可、未申告発行、利息支払など違反時、懲役又は罰金
・(過料)商品説明書の未公示、準備資産管理違反、内部統制未運営、取引記録未保存など
・(懲役/罰金)無認可発行業の営為時、5年以下の懲役又は2億ウォン以下の罰金
・(過料)金融委員会への報告未履行、資料提出命令違反など
9.海外ステーブルコインの取り扱い
 
・(VASP責任)仮想資産事業者(取引所など)が海外ステーブルコインを取引支援しようとする場合、取引支援の適格性評価を自ら実行しなければならない。 ・(発行社登録) 外国法令に基づくステーブルコインの行社は一定の要件をたして金融委員会に登すれば、本法によるステーブルコインと見なす。 
 
2. 示唆点及び韓国企業の対応戦略
 
1)「利息の支払い」の許容有無
 
両法案の最大の違いは「利息支払い」の有無であり、これはステープルコインを「デジタル支払い決済手段」と見なすのか、それとも「収益型金融商品に進化する余地」を与えるのかという根本的な見解の違いを示しています。アン・ドゴル議員案は利息の支払いを明示的に禁止し、ステープルコインの役割を支払決済手段に限定している一方、キム・ウンヘ議員案は別途の禁止条項を置かず、今後様々な運用可能性まで念頭に置いた比較的柔軟な設計を採用しています。
 
これらの違いは、国内でステープルコイン関連事業を準備する企業にとって非常に重要です。どちらの法案が最終的に通過するかによって、利息に基づいたデファイ(DeFi)連携サービスやリワード支払モデルなど特定の事業モデルの許容可否が決定され得るからです。
 
2) 海外進出時の利息支払と「証券性」リスク
 
また、国内法上利息の支払いが許可されていても、これは海外進出時に必ず考慮すべき「証券性 (Securities)」のリスクを伴います。
 
米国の GENIUS 法 (GENIUS Act, Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act) は、支払決済型のステープルコインに対する利息支払を禁止しています (“no… issuer shall pay … any form of interest or yield … solely in connection with su or stablecoin,” §4(a)(11))。これは、ステープルコインの保有による「収益に対する期待」が発生した場合、当該資産が米国証券法上「投資契約」、すなわち証券に分類される可能性があるためです。
 
従って、国内企業が利息又は収益を支払う構造のステープルコインを発行する場合、当該資産は米国において支払決済手段ではなく「証券(securities)」とみなされる可能性があり、その場合、GENIUS法ではなく、より複雑で厳格な連邦証券法(Securities Act of 1933)の規制を受けることになります。そのため、国内法が利息の支払いを最終的に認めたとしても、米国市場に進出しようとする企業は、米国の規制環境を考慮した構造の設計が必要であると思います。
 
3)米国の立法動向及び「相互主義」観点の留意事項
 
韓国の立法動向に関して、米国GENIUS法の外国発行ステープルコインの「相互認定条項」と韓国法案の「海外ステープルコインの取扱い」方式がどのように相互作用するかについても検討する必要があります。米国のGENIUS法は、外国の規制体系が米国と「同等」であると認められた場合、その国のステープルコインが米国内で流通されるように許可しています(“The foreign payment stablecoin issuer is subject to … a regulatory and supervisory regime … comparable to the … regime … comparable to the … regime §18(a)(1))。 言い換えれば、韓国法案のレベルが米国進出の前提条件となる可能性があります。
 
このような状況で、キム・ウンヘ議員案の第22条は「外国で発行された価値固定型デジタル資産が一定の要件を備えて金融委員会に登録する場合、韓国国内の価値固定型デジタル資産とみなす」という特例条項を置いています。これは海外で発行されたステープルコインが国内で流通するために満たすべき基準を提示したもので、今後他国の制度と韓国の制度を比べたり、相互認定を検討する議論の出発点になり得るものと見られます。一方、アン・ドゴル議員案は、海外ステープルコインに対して個別仮想資産事業者(VASP)が取引支援の適格性を評価するようにして、規制主体と方式において違いを示しています。
 
結論として、韓国企業は「利息支払禁止」条項に加えて、「海外ステープルコインをどのように国内で取り扱うか」に対する条項が最終法案にどのように規定されるかを必ず注視しなければなりません。これは国内事業モデルの範囲を決定するだけでなく、米国などの主要海外市場進出時に韓国政府が活用する交渉カードであり、該当国が韓国の規制レベルを判断する重要な基準となるからです。
 
3. 結論
 
今回発議された2件の法律案は、国内初のステープルコインに対する包括的な規制体系を提示したという点から大きな意味を有します。これは、ステープルコインが金融システムに及ぼし得る潜在的な影響力を認識し、それを制度圏内で管理しようとする立法部の意志を示しています。
 
ただし、両法案はそれぞれ「金融安定」(アン・ドゴル議員案)と「支給革新」(キム・ウンヘ議員案)に重みを置いて異なるアプローチを取っています。従って、今後の立法過程で「安定」のための厳しい統制と「革新」を奨励する柔軟性の間のバランスを取ることが重要な課題となるでしょう。
 
両法案とも発行会社認可制、準備資産義務など高い水準の規制を盛り込んでおり、やや過度な規制が新技術とビジネスモデルの登場を阻害し、国内デジタル資産市場の競争力を弱める可能性があるという懸念も共存します。
 
従って、今後の2つの法案の審査過程において、ステープルコインの発行規模、使用目的及び業界の現況などを考慮した合理的でバランスの取れた政策方向を模索する必要があります。関連業界はこれらの立法動向を十分注視し、最終法案に業界の現実と将来の成長可能性が反映されるよう積極的に意見を開陳し、対応戦略を設けることが重要であると思われます。
 
法務法人(有) 麟(LIN)のデジタル資産チームは、ステープルコイン関連法案の深い分析に基づき、法案に対する意見の開陳、規制遵守(コンプライアンス)体系の構築、事業モデルや発行認可支援など総合的な法律コンサルティングを提供しています。
 
 
法務法人(有) 麟(LIN)のTMT・情報保護グループのデジタル資産チームは国内外企業の規制問題に戦略的なワンストップトータルソリューション(Total solution)を提供しています。
上記についてご質問がありましたら、いつでも法務法人(有) 麟(LIN)のTMT・情報保護グループのデジタル資産チーム(Tel. 02-3477-8695)にお問い合わせ下さい。
 
 
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